今、日本国内で一年につくられる外衣類<アウター>の総数は、約二十七億枚だそうだ。
これは実際にどうなのかというと日本人の一人が一年間で22枚の衣料品を買わないと、
余ってしまう数量である。
父親世代が8枚、母親世代が10枚、学生世代が22枚を平均的に買っているらしい。
ということは、半分以上が売れ残ってしまうことになる。そのことによって、二つの大きな問題が起き
る。@残ったものは焼却される。その際に発生するダイオキシンは環境問題になっている。A残った
ものを裏ルートでバッタ価格で安く処分する。スーツが百円の値段になるケースもある。
これは正規の値段で購入した消費者に対する裏切り行為になり、
繊維業界への消費者の不信を招くことになる。
「焼き捨ててしまうよりは、わずかでも金になった方がいい」というのが、生産者側の言い分だ。実際
にバッタ屋が取り引きしている現場を何度となく見てきた。三十枚から五十枚の衣類が詰まった段
ボール箱を、三千円から五千円で処分するのだ。ということは、一枚が百円弱になる計算だ。
中に何が入っていても同じ値段である。
早い話が、売れ残った衣料品は、ゴミと同然である。大型ゴミを処分するためには、逆にお金を払
わなければならない。それより、多少なりともお金になった方がマシなのである。
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