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ファッション・アパレル業界の仕事ガイド

BY F.CHUUDOKU




ファッション・アパレル業界の仕事ガイド

■ファッション・アドバイザー■パタンナー■モデル■バイヤー■スタイリスト■テキスタイル・デザイナー
■カットソー・ニットデザイナー■ファッション・デザイナー■モデリスト■プレス・アタッシェ■プロデューサー


ファッション業界に入るなら
 ファッション業界といえば、デザイナー、バイヤー、アドバイザーといったカタカナ職業の宝庫。そうした華やかなイメージと実際の現状には大きなギャップがある。個人消費の落ち込みの影響を受け、待遇面や労働条件は必ずしもいいとは言えない。

 しかし、ファッションが好きでこの業界に入った人間たちは、連日の残業や休日出勤もなんのそので、前向きに自分の仕事をこなしている。ファッション業界には、そうした不思議な魅力がある。誰もが熱意を持ち、それが原動力になっているのだ。

 「お金は使えないけれど、より質の高いファッションを」というのが、最近の消費者の傾向。欲しいものはなんでも持っていて、これ以上は何もいらないという消費者を買う気にさせるのは難しい。しかし
不況であってもファッションに関しては「欲しいものがあれば無理をしてでも買う」という消費者が多い。皆のファッションへの潜在的な欲望は大きいのだ。



■ファッション・アドバイザー販売員
 渋谷109のテナントの「エゴイスト」には、カリスマ店員が存在し、一気に売上を伸ばした
時期があった。昔の言葉で言うなら「看板娘」である。彼女は客たちから「ヨウコさん」と呼
ばれ、毎朝店内のお気に入りの商品を身につけて売場に立ったのだ。客の中には、彼女
に服を選んでもらいながら、悩みを打ち明ける客もいたらしい。彼女とおしゃべりをした客
たちは、誰もが同じ服を買っていったそうだ。

 彼女のような販売員こそが、ファッション・アドバイザーといえるのかもしれない。実際に
売場に立って、来店したお客の買い物の手伝いをする。商品の説明をしたり、試着させた
り、着こなしのアドバイスをしたりする。なじみになった客には、ちょっとした悩みの相談にも
乗る。そうして客とのコミュニケーションを深めていく。

 我々の普段の買い物の七割は、必要の無いものらしい。いかに衝動買いが多いかという
ことだ。客に衝動買いをさせるのが販売員の仕事である。ひやかし半分の見込み客を顧
客にし、さらに得意客にすることを目指さなければならない。そうしたレベルになった者がフ
ァッション・アドバイザーになれるのだ。


■パタンナー
 ファッションの仕事の中で、一番つぶしがきくのは、パタンナーだと思う。五年の経験があ
れば、メーカー勤務の場合は年収五百万円くらいになり、独立してフリーで仕事もできる。
長年アパレル関係の仕事をしていて実感するのは、パターンの仕事が多い割にはパタン
ナーの数が少ないということだ。

 デザイナーが描いたデザイン画を型紙にして、服の設計図を作るのがパタンナーの仕事
である。もう少し詳しく説明すれば、まず人型に布を当てて立体裁断をする。それをデザイ
ナーにチェックしてもらって型紙を作成する。その型紙には、縫製工場向けの縫い方やポ
ケットの位置などの細かい指示を書き込む。そうして完成したサンプルをチェックして、最
終的な型紙を完成させる。

 ファスナーやボタンなどの付属品を発注するのも、パタンナーの仕事なので、緻密さや管
理能力も必要になってくる。展示会などの直前には、数十点のパターンを一人で完成させ
なければならないので、眠る時間も無いほどに忙しい。


■モデル
  雑誌やCMでファッション関係の商品を魅力的に見せる実力主義のシビアな世界である。
そんなモデルの仕事は、ファッションショーに出演する「ショー」、ファッション雑誌などに載る
「スチール」、テレビCMなどの「ムービー」に分かれている。

  この他にも手や足などの体の一部だけをクローズアップする「パーツ」と呼ばれる仕事も
ある。自分の体を使って洋服などの商品を、魅力的に見せる仕事なので、スタイルやルッ
クスの良さが求められるのは当然だ。そうした自身の体を常にベストの状態に保つため
に、厳しい自己管理をしなければならない。そして主役の商品を引き立たせるためのイメー
ジつくりもしなければならない。

 とにかくオーディションを通過しないことには、仕事も収入も何も無いシビアーな世界であ
る。オーディションを受け続ける精神的な強さが必要になってくる。最近は、スタイルやルッ
クスがいいだけではモデルになれない。ひと目見たら忘れられない個性があれば、モデル
になれる可能性がある。

 とりあえず、モデル事務所に所属し、簡単な仕事を紹介してもらったり、オーディションを
受けたりするところから始める。モデル業は一本いくらの歩合制だ。ファッション・ショーの
場合は、1日二回の出演で十万円前後が普通だ。トップ モデルといわれるクラスになると、
月収が100万円程度になる。

 日本での実績が無くても、直接ヨーロッパに渡って向こうの事務所と契約すれば、パリコ
レやミラノコレに出演するチャンスも生まれる。モデル料金は安くても、世界に名前を売る
チャンスになる。


■バイヤー
 店の売上を大きく左右する「仕入れ」を担当するのがバイヤー。トレンドを先取りして、売
れ筋商品を必要な時に適切な数を確保しなければならない。そうして売れ残りの数を最小
限に食い止める。発注は半年前なので、トレンドの予測は非常に難しい。トレンドを読む力
だけじゃなく、メーカーとの交渉能力も必要である。

 かき入れ時の休日前に人気商品が売り切れたりしないよう、細かく期間を区切って納入
計画を立てなければならない。数字に強くて、自社のスタッフや取引先の人間を説得する
力も必要だ。バイヤーの立場は、係長から課長クラスで、年収は700万円前後になる。

 バイヤーが必要とされるところは、商品をメーカーから直に仕入れるデパートなどの大型
小売店である。自店の売場を熟知したスタッフからバイヤーを育てる傾向が強いので、中
途採用ですぐにバイヤーとして採用されることは滅多に無い。入社後は販売職とアシスタ
ント・バイヤーを経験して、それからバイヤーになるケースが普通である。その間に七年ほ
ど時間がかかる。中途採用があるとしたら、海外で買い付けのできる人材である。外国語
に堪能で、貿易業務に詳しい人間だ。

  社内では、営業、店頭の販売員、セールス・マネージャーと組んで仕事をする。ファッショ
ン・ショーの最前列の席に真剣な顔で陣取っているのが、こうしたバイヤーたちである。


■テキスタイル・デザイナー
 
 テキスタイル・デザイナーは、服つくりのベースである生地をデザインする仕事だ。これほ
どレベルというか、格差の大きいデザインの仕事はない。大きなメーカーに勤務しなくて
も、つまり一流でなくてもフリーで充分に稼げる。絵心さえあれば、独学でもやっていけるの
が、この仕事である。

 テキスタイル・デザインには、いろんなジャンルがある。生地の図柄を描く仕事。Tシャツ
やトレーナー等の図柄を描く仕事。刺繍やワッペンの図案を描く仕事等がある。大半が小
さいメーカーの仕事で、「サファリー調」とか「ヒップホップ調」とか「サーファー風」といった
簡単な指示で依頼がくる。

 例えば、Tシャツの図案だけでも飛び抜けたセンスがあれば、それを武器にして一流の
テキスタイル・デザイナーになれる。日本のブランドのヒステリック・グラマーのように、ユニ
ークでポップな図案のTシャツがロンドンでブレークしている。そうした図案が描ければ、そ
 れだけで充分にお金を稼げることになる。

 オリジナリティーのある図柄の描ける人は、画用紙などにスケッチを描いて、それをストッ
クしておけばよい。そしてその中の彩色した図案を持ってメーカーに売り込むのである。そ
の場合は、小さいメーカーの方が現実的で実現しやすい。                   


■カットソー・ニットデザイナー
 アパレル業界で、「カットソー」と呼ばれる衣服をデザインし、その製作工程を任されてい
るのがニットデザイナーである。さまざまな素材を編んだニットの糸と色を選択し、衣服全
体のデザイン、製作工程の管理、検品を行なう。それだけでなく、展示会などではディス
プレーなどの雑用もやらされる。ニットデザイナーの大半は、ニット専門メーカーや大きい
アパレル・メーカーのニット部門に所属している。

 ニット関連の仕事は、いろんな事を学ばなければ一人前になれない。ちゃんとしたデザイ
ナーになるのに、最低五年はかかる。「カットソー」そのものが、見た目のシンプルさの割
には複雑なアイテムである。カット・ソーイングを略したものがカットソーなのだ。生地をカッ
トしてソーイング<縫う>したものと言う意味だ。

 バイヤー向けの展示会のために、一年後のトレンドを先取りし、素材と色を決定してデザ
インする。縫製工場に依頼したサンプルの検品と修正を、短期間にやらなければならな
い。とにかく慌しくて忙しい仕事である。

 アパレルメーカーには、それぞれにブランド・イメージがあるので、自分の好きなデザイン
をすることは難しい。そうした条件を乗り越えて、ヒット商品を生み出した時のうれしさは格
別のものである。ニット製品はあまり浮き沈みのないアイテムなので、実力をつけたら長い
間仕事を続けることができる。


■スタイリスト
 スタイリストというのは、雑誌やCM等の撮影で、イメージに合ったファッションをコーディ
ネートする仕事だ。華やかであるが、一方で雑務の多い地味でハードな仕事でもある。現
在、二千人近いスタイリストがいて、その9割は女性が占めている。

 雑誌の編集者やCMの担当者のイメージに合わせ、衣装や小物を選択し、撮影現場で
モデルやタレントのスタイリングのコーディネートをする。ファッションだけじゃなく、ヘアメイ
クなどの手伝いも任される時がある。小物というのは、アクセサリー、バッグその他いろい
ろで、これがけっこう面倒な仕事になる。

 撮影前の忙しさは、とにかく半端じゃない。イメージに合った服や小物を捜して、あちらこ
ちらを駆けずりまわらなければならない。重い荷物を運ぶことはしょっちゅうである。商品
を借りることも多く、借り先との交渉もしなければならない。撮影の直前に細かい変更があ
ると大変なことになる。徹夜を覚悟で動き回らなければならない。

 そうした一方で、自分の手がけた仕事をテレビや雑誌で見た時の感動は、言葉では言
い表せないほどのものらしい。テレビの仕事の場合は、有名タレントを間近に見ることが
できる。それも一つの楽しみになる。

 スタイリストの場合、ランクの差が大きくて、月収が数百万円になる者もいる。一方で事
務所勤務の場合は、十五万円程度と安い。フリーのアシスタントは、数万円にしかならな
いそうだ。


■ファッション・デザイナー
 常にトレンドを分析して、新しいテーマやモチーフに挑戦する服つくりの主役が、ファッシ
ョン・デザイナー。メーカー勤務の場合、自社ブランドの服つくりの全部を行なう。春、夏、
秋、冬の四回の展示会に向けて、スケジュールなどを分かりやすく具体的にしたイメージ・
マップを作成する。

 各シーズンの半年くらい前にデザイン画を描き、パタンナーに裁断と縫製の指示などを
する。使用する生地もデザイナーが決定する。そのために生地屋との打ち合わせや交渉
をしなければならない。生産工場が海外にある場合は、出張して細かい打ち合わせもしな
ければならない。パタンナーが型紙をつくったら、それをチェックしてサンプルを完成させ
る。

 メーカーに勤務しているデザイナーの場合は、メーカーのイメージが優先されるので、自
分の好みのものだけをつくることはできない。会社のデザインテーマが最優先される。値
段の設定によっては、安く仕上げなければならないので、生地やその他の付属品を値段
に合わせた安いものにしなければならない。

 メーカー勤務の場合は、とにかく制約が多い。その中で自分のデザイン・センスを発揮し
て、売れるものをつくらなければならないのだ。そこにやりがいを感じ、根気よく仕事をする
人間でないと、メーカー勤務のデザイナーは勤まらない。



今後有望な仕事

@モデリスト
 パタンナーに似ているが、日本では新しい仕事として注目され始めたばか
り。アパレルメーカーの中には、社内で育成をしている会社も多い。元来はパ
リのオートクチュールの洋装店で原型パターンをつくる人のこと。デザイナーが
モデリストを兼ねるケースも多いのだが、雇われたモデリストがデザイナーの
仕事を助ける場合も多い。

 イタリアのモデリストの仕事を例にあげてみよう。デザイナーの起こしたデザ
イン画を元にして原型パターンとサンプルを作る。生産・加工場に対して裁断、
縫製の技術指導を行なう。デザイナーの選んだ生地、素材、裏地等の指示を
正確に行なうのが仕事だ。それだけの知識が必要になってくる。



 Aプレス・アタッシェ
 日本では「プレス担当」と呼ばれている。マスコミ、メディアに対応するのが
主な仕事である。ブランドごとのシーズンを通した企画のテーマやイメージを
情報提供する。商品の写真やサンプルの貸し出しを行い、取材のアレンジも
する。展示会の企画は当然のことで、マスコミの記者への連絡なども行なう。

 自社のブランドの方向性や特性だけじゃなく、トレンドの動きや他社のブラン
ドの動向なども把握しなければならない。何よりもマスコミの担当者との柔軟
なコミュニケーションが大切である


Bプロデューサー
 これまでのプロデューサーは、ファッションショーの構成や演出をする人であ
った。しかし最近になって、商品の企画から店頭展開までを具体的に事業化
できる人間が求められている。ファッション動向を察知して検証する能力を持
ち、人を動かす力量も兼ね備えていなければならない。

BY F.CHUUDOKU
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