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ファッショナブルお洒落Webマガジン・Tシャツ大好き

BY F.CHUUDOKU

   


Tシャツ大好き 

Tシャツは米海軍の制服だった
 
 1941年、戦争に向けて準備をしていた米海軍は、丸首で綿100%のTの形をした新しいシャ
ツを用意した。シアーズ・ローバック社がデザインを担当したものである。兵隊の制服だったTシャ
ツは、やがてアメリカ人の心を捕らえることになった。

 太平洋戦争において、気温が高くてジメジメとした熱帯性気候のフィリピンなどでは、Tシャツ姿
で過ごすしかなかった。他にもコンバットブーツ、カーキのチノパンツとヘルメットが制服だった。
暑い地域での戦いによるヒドイ汚れ、荒れた土地での行動に、Tシャツは最適の着衣だったの
だ。それに比べて、日本兵は着衣にあまりにも無頓着だったといえる。

 しかし真っ白のTシャツは、簡単に日本兵の標的になってしまう欠点があった。そこでTシャツ
は、茂みや土の色に同化するように、カーキ色に染められた。最初は白かったTシャツが、突然
カーキ色に変わったことに、日本兵たちは気付かなかったそうだ。

 終戦前の米国では、Tシャツは英雄的な着衣として受け入れられるようになった。戦況を伝える
マスコミの写真などで、いつも目にしていたからである。実際に着てみると、もう一枚の皮膚のよ
うな快適さがあり、誰もがトリコになってしまった。そうしたブームはたちどころにヨーロッパへも広
がり、解放をもたらすシンボルとして普及したのである。
  


上手なTシャツの買い方

 早いものでTシャツの季節になってしまった。ジーンズとTシャツだけで夏を過ごす若者もいるく
らいで、夏には欠かせないアイテムだ。今回はバーゲン品等の安いTシャツの選び方について書
いてみたい。定価が2000円以上のものは、何の心配もすることはない。生地も縫製もしっかり
しているから。問題なのは1000円前後のものだ。いくらプリントが気に入っても、生地と縫製が
悪かったらすぐに型崩れしてしまう。どうすれば簡単に品質を調べられるのかアドバイスしたい。
 
 縫製の具合を調べるには、Tシャツを裏返してみるといい。手を抜いた簡単な縫い方と、ていね
いでしっかりした縫い方の差は一目瞭然だ。それと襟首の処理の仕方もチェックしてほしい。厚
手の生地を使ってしっかりと縫ってあれば大丈夫。ようするに糸をたくさん使っているほど、縫製
がしっかりしていることになる。

 もう一つの奥の手は、織ネーム<襟首に縫い付けられたブランド名>をチェックすればいい。
刺繍のように見えるものは最高。プリントした切りっ放しのチャチなものは安物である。



Tシャツの概念を壊した日本人デザイナー

 最初にTシャツの概念を壊した日本人デザイナーは、山本耀司であった。彼自身はいつも黒の
Tシャツを身に着けていて、メンズ・コレクションではダークスーツに白のTシャツを組み合わせた
新しいシックな装いを提案した。カジュアルではないダークスーツとTシャツのコーディネートは評
判になり、大成功をおさめた。

 もう1人のデザイナーは、誰よりもアバンギャルドーな川久保玲だった。コムデギャルソンの83
年秋冬コレクションでは、デザイナーの川久保玲が、左右非対称のTシャツの上に、穴をたくさん
開けたウールのセーターを羽織るコーディネートを発表した。革命的だったそのコレクションは、
大きな評判を呼ぶことになった。

 それから十年後、川久保は左右非対称で裂け目の入ったTシャツを商品化した。黒、緑、くす
んだオレンジの色と、抽象的な幾何学柄のTシャツだった。97年春夏のコレクションのテーマは
「こぶ」で、女性の体のシルエットを様々なこぶの膨らみによって変化させた。首や背中にパット
が入っているTシャツを発表したのだ。

 今回は最後にソニア・リキエルの言葉を引用する。「シックかルーズか、フィットしてるかゆった
りか、ポップな感じか装飾過多かの違いがあっても、Tシャツとはジーンズと同じように、男も女も
金持ちも貧乏人も誰もが欲しがるものである」

 

Tシャツに手を染めたオートクチュール
 
 まことにシンプルなアイテムであるが、誰もが考えた挙句の果てに一枚のTシャツを選ぶ。肌
の上に直接着るものだからこそ、慎重になってしまう。着る者のサイズや体型を映し出すと同時
に、性格や趣味やセンスまで他人の目にさらすことになる。Tシャツを見れば、その人間のアウ
トラインが判明すると言っても過言でない。

 アパレル・デザイナーにとって、一番扱いやすくて、しかもクリエィティブなアイテムはTシャツだ
ろう。今のTシャツは、企業の宣伝であり、アートであり、垂れ幕であり、キャッチフレーズであ
り、装飾でもある。本来は大衆的でベーシックだったアイテムを、オートクチュールのデザイナー
たちは、自分達のカラーに染めていった。そしてとんでもない高級なTシャツをつくり出したので
ある。そしてTシャツは、オートクチュールの一点ものとして売られるまでになった。

 いまだに語り草になっているのは、2001年にクリスチャン・ディオールが発表したTシャツ
だ。袖の回りにパールで刺繍したハートや十字架をぶら下げたのである。他にもたくさんのデザ
イナーが、数千フラン以上の高級Tシャツを発表し続けた。タキシードやロングスカートとコーデ
ィネートできるアクセサリーが縫い付けられたTシャツである。フルーツ・オブ・ザ・ルームの三百
円のTシャツの愛好家にとっては、まったく別世界の話だ。



白い無地Tシャツも捨てたものじゃない

 ジーンズと一番相性のよいアイテムは、間違いなく白い無地のTシャツだ。シンプル過ぎるか
もしれないが、十代から二十代前半の男性ならサマになる。中途半端なプリントTシャツよりカ
ッコいいし、何よりも安いのが有りがたい。

 無地Tシャツのいいところは、アウターとしてもインナーとしても着られるところだ。高いプリン
トTシャツをインナーとして着るのは、もったいないし、はっきり言ってサマにならない。インナー
はやっぱり無地のTシャツに限る。

 オヤジたちだって、若者と違った意味で無地Tシャツがカッコよく見えることがある。あえて無
地のものを着るといった意図がある時だ。若い時のように無地Tシャツを着て、エンジョイして
いるオヤジの渋さも捨てたものじゃない。

 
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